心霊とかじゃないけど実話。

大学生の夏休みに、東南アジアを何カ国か旅行した時のこと。 

ある国で露天の食べもの屋で昼飯食べようと思った。 

大きな寸胴でよく分からん肉が入ったスープみたいなやつが煮たってた。 

それを一杯買い、汚い椅子に座って食べてた。 

すると、道行く人たちが訝しげな目で僕のことを見ているのに気付いた。 

なんか嫌な感じだなーとか思ってたんだけど、 

まあ外国人の旅行者なんか滅多に来ないようなへんぴな所だったから 

それが珍しくてじろじろ見てるんだと思ってた。 

そのうち、道を歩いてきた汚らしいかっこしたじいさんが 

僕になんか話しかけてきた。僕は当然意味なんか分からない。 

「ノーノー分かりませーん」とかジェスチュア交えて説明した。 

それを聞いていた店のおじさんが驚いてこっちへ寄ってきた。 

「アタナ、ニホンジン?」と店のおじさんが僕に言ってきた。 

「アタナ」ってのはあなたってことだろう。 

「オーニホンジン、ニホンジン」僕がそう言うと店のおじさんは 

なんか変な、ひきつったように笑いながら、

最初に僕に話しかけてきたおじさんに向かって何か言ってる。 

それを聞いたおじさんは、これもまた微妙な表情をして 

何か言いながら歩いていっちゃった。 

僕も気になって、店のおじさんにさっきのひとが何言ってたのか聞いてみた。 

店のおじさんもそれほど日本語がうまいというわけではなかったが 

なんとか僕の言っていることくらいは理解できるようだ。 

「アタナ、ナニタベテルノカ、ワカッテルカ? ソウイッテル」 

店のおじさんは僕にそう言った。 

「ナニ? このスープのこと? この肉? なんなんですか?」 

僕がそう聞くと、店のおじさんが答えた。 

「ソレ、ニンゲンノニクヨ」 

正直びびった。聞き間違いかと思った。もう一度ちゃんと確認してみたが、 

おじさんが言うにはどうやら人間の肉に間違いないらしい。 

もちろん国は禁止しているが、このあたりではまだ普通に食べているらしい。 

多少気持ち悪くなったけど、まあ仕方ないとも思った。そういう食習慣が 

残ってるところがあってもおかしくはないし。 

じろじろ見てる人だって、さっき話しかけてきたおじさんだって、 

普通に人間の肉食べてるらしい。 

だったらそこまで変な目で見ることないじゃないか。 

そう店のおじさんに言うと、おじさんは吐き捨てるように言った。 



「デモ、ココノヒトハ、ジブンノナカマタベナイヨ。ソレ、ニホンジンノニク」